生化学:見かけ上は非特異的なRNA結合タンパク質が持つ隠れた特異性
Nature 502, 7471 doi: 10.1038/nature12543
核酸結合タンパク質は一般的に、DNAまたはRNA上にあるそれらの結合部位の特性により、特異的または非特異的のどちらかと見なされている。ほとんどの研究が、特異的な結合をするタンパク質に注目してきた。こうした研究では、配列や構造、あるいはその両方に明確な特徴を持つ領域への高い親和性での結合によって、同族結合部位が同定される。配列や構造に明確な特徴を持たない部位へ結合するタンパク質は、非特異的と見なされている。このようなタンパク質の基質への結合についてはよく解明されておらず、核酸の構造により隔離されるものは別として、見たところ非特異的なタンパク質が、異なる結合部位をどの程度識別しているのかは知られていない。今回我々は、見かけ上は非特異的なRNA結合タンパク質C5による基質結合を系統的に調べ、さまざまな結合部位異型が明らかに識別されていることを見いだした。C5は、大腸菌(Escherichia coli)で転移RNAプロセシングを行うリボ核タンパク質酵素RNアーゼPのタンパク質サブユニットである。C5は、tRNA前駆体5′リーダー部位中の配列や構造に特徴が見られない部位に結合する。我々は、数千種のRNAのプロセシングを同時に追跡するHITS-KIN(high-throughput sequencing kinetics approach)を用いて、基質結合部位で可能な全ての配列異型へのC5の機能的結合について測定を行った。C5は、多様な基質異型と結合し、その親和性には数十倍に及ぶばらつきが見られる。全ての基質異型に対するC5の機能的親和性の分布は、非常に特異性の高い核酸結合タンパク質の親和性分布と似ている。しかしC5は、このような特異的なタンパク質とは異なり、その生理的なRNA標的と最も高い親和性では結合せず、分布の中央値に近い親和性で結合し、これは配列の特徴と関連のない領域に相当する。我々は、C5による基質認識を支配する明確な法則を明らかにした。これはRNアーゼPの細胞内基質の隠された特異性を明らかにするものである。今回の知見から、見かけ上は非特異的なRNA結合様式と特異的な結合様式は基本的に異なったものではなく、共通の親和性分布の異なる部分を表している可能性が考えられる。

