医学:中国でヒトへの感染を引き起こしたH7N9インフルエンザウイルスの発生と起源
Nature 502, 7470 doi: 10.1038/nature12515
2013年3月に初めて確認された新型のA型インフルエンザウイルスH7N9は、それ以降の中国での感染例は130人を超え、40人が死亡している。予備的な解析では、このウイルスはH7、N9およびH9N2鳥インフルエンザウイルスのリアソータントであり、加えて哺乳類の受容体への結合に関係するいくつかのアミノ酸を保有していることが示唆されたため、新たなパンデミックにつながることが懸念されている。しかしながら、感染を増やしたH7N9系統の起源となるウイルス集団も、ウイルスが発生した状況も十分に分かっていない。今回我々は、積極的サーベイランス、ウイルスに関する保管記録のスクリーニングおよび進化的解析を組み合わせることによって、H7ウイルスはおそらく、中国で家禽アヒル集団からニワトリ集団に、少なくとも2回の独立した伝播があったことを示す。H7ウイルスはその後に動物の地方病性H9N2ウイルスとの間で遺伝子再集合を起こし、感染を起こしたH7N9系統と、今まで知られていなかった近縁のH7N7系統が生じたことが分かった。感染を起こしたH7N9系統は広い地理的領域に広がり、生きた家禽を売買する市場のニワトリの間で蔓延して、その蔓延した系統がヒトへの直接の感染源であると考えられる。感染を起こしたH7N9系統が、中国や近隣地域での動物地方病の原因ウイルスとなっているのか、それとも今後そうなるのかについてはさらなる研究が必要である。実験的には哺乳類に感染できることが分かった近縁のH7N7インフルエンザウイルスがニワトリで今回見つかったことは、H7ウイルスが今回の感染発生以上の脅威をもたらす可能性を示唆している。家禽でのH7ウイルスの持続的蔓延は、ウイルスがヒトからヒトへの伝播能力を獲得するリスクが持続していることと併せて、非常に病原性の高い変異株の発生や、散発性のヒト感染のさらなる発生につながる可能性がある。

