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病原微生物学:炭疽毒素に起因する致死性に重要な組織標的

Nature 501, 7465 doi: 10.1038/nature12510

炭疽の病原体である炭疽菌(Bacillus anthracis)は、炭疽致死毒素(LT)および浮腫毒素(ET)という2種類の外毒素の作用によって致死性を示す。この2種類の毒素の致死作用に重要な組織標的は明らかになっていない。今回我々は、炭疽毒素受容体であるCMG2(capillary morphogenesis protein-2)を細胞種特異的に欠損したマウスや、CMG2を細胞種特異的に発現するマウスを作製し、それらに2種類の炭疽外毒素を投与した。その結果、LTおよびETに起因する致死性はそれぞれ異なる細胞種への傷害によって生じることが明らかになった。LTによる死には、心筋細胞および血管平滑筋細胞が標的となる必要があるのに対し、ETに起因する致死性は主に肝細胞内での作用により生じた。従来の予想に反して、どちらの毒素も、内皮細胞を標的とした場合には致死性に有意に寄与するようには見えないことは特筆すべきである。今回の知見は、炭疽菌がLTとETを用いて2種類の重要な器官系を協調的に傷害することで宿主致死性を引き起こすように進化したことを明らかにしている。

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