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生物地球化学:北半球の植生に対する昼間と夜間の温暖化の非対称的な効果

Nature 501, 7465 doi: 10.1038/nature12434

過去50年間にわたる気温データから、全球の地表面の温暖化は昼間よりも夜間の方が速いことが示されている。大部分の植物の光合成は昼間に行われ、日最高気温Tmaxにより敏感に反応するが、植物の呼吸は一日中行われているため、Tmaxと日最低気温Tminの両方の影響を受けるので、この非対称的な温暖化は植物の炭素の同化と消費に影響を与えると予想される。しかし、気候の温暖化に対する陸域生態系の応答に関する研究のほとんどでは、植生の成長と二酸化炭素(CO2)フラックスに対する、この非対称的な強制の効果が無視されていた。今回我々は、衛星観測によって得られた正規化植生指数(NDVI;植生の濃さを示す指標)と北半球のTmaxTminの間の年々共変動を解析した。TmaxTminの相関を除外すると、TmaxとNDVIの部分相関は、亜寒帯の湿潤かつ寒冷なほとんどの生態系で正となるが、温帯の乾燥した地域で負となることが見いだされた。それに対して、TminとNDVIの部分相関は、亜寒帯では負であり、温帯の乾燥した地域では、より複雑なふるまいを示す。全球大気の逆問題モデルから得られた陸域の正味のCO2交換の分布図において、似たパターンが発見された。さらに、米国アラスカのポイントバローの観測所における、長期にわたる大気中のCO2濃度の記録について解析を行った結果、CO2の最高最低振幅は、北緯51度より北の陸地では、5〜9月のTmaxの+1°Cの偏差に対して23±11%増加するが、Tminの+1°Cの偏差に対して28±14%減少することが示唆された。日ごとの非対称的な温暖化は、多くの全球炭素循環モデルでは現在考慮されていない過程であり、これらの一連の証拠から、気温の上昇に対する北半球の植生の成長と炭素隔離に異なる応答をもたらすことが示唆される。

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