Letter
医学:R-スポンジン1とSlit2による腸幹細胞の誘導は化学放射線防御を高める
Nature 501, 7465 doi: 10.1038/nature12416
がん研究は、予防、早期発見、および隣接する良性細胞と悪性細胞を見分けるための特異的な分子標的の発見に正しく焦点を合わせ、着実な成果を上げている。しかし、進行期転移がん治療中の集中的化学放射線療法に起因する致死的な組織損傷の軽減は、主要な臨床課題のままである。本論文では、マウスで成体幹細胞を誘導することにより化学放射線性組織損傷を修復し、生存期間を全体的に延長できるかどうかについて検討した。腸幹細胞(ISC)は、Slit2およびその1回膜貫通型細胞表面受容体であるroundabout 1(Robo1)を発現していることが分かった。Robo1の部分的な遺伝学的欠失により、ISC数が減少し、絨毛低形成が起こったが、Slit2を遺伝子導入すると、ISC数が増加し、絨毛過形成が引き起こされた。致死量の化学放射線照射中に、R-スポンジン1(Rspo1、Wntアゴニスト)とSlit2を短期間投与すると、ISCの減少が抑えられ、腸機能不全が緩和され、マウスは致死から救済され、その間に化学療法に対する腫瘍の感受性が低下することはなかった。従って、Rspo1とSlit2は、転移がんを根絶するための侵襲性の強い化学放射線療法が必要な際に宿主の耐性を高める補助治療薬として機能する可能性がある。

