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がん:アンドロゲン受容体が調節する遺伝子活性化プログラムのlncRNA依存性作用機構

Nature 500, 7464 doi: 10.1038/nature12451

最近の研究によって、長鎖非コードRNA(lncRNA)が細胞型決定や組織恒常性維持に生理的役割を果たすことが示されているが、lncRNAが遺伝子転写プログラムの調節に関係している可能性についてはあまりよく分かっていない。アンドロゲン受容体は、前立腺がん細胞の性質や挙動に重要な役割を担う多数の遺伝子群を調節していて、前立腺がんが初期段階のアンドロゲン除去治療後にホルモン抵抗性となった際には、その多くでリガンド非依存的に機能する。今回我々は、悪性度の高い前立腺がんで過剰に発現されている2種類のlncRNAであるPRNCR1(別名PCAT8)およびPCGEM1が、前立腺がん細胞でアンドロゲン受容体に連続的に結合し、アンドロゲン受容体を介してリガンド依存的に起こる遺伝子活性化とリガンド非依存的に起こる遺伝子活性化のプログラムの両方と、がん細胞の増殖を強く促進することを明らかにする。カルボキシ末端がアセチル化されたアンドロゲン受容体がエンハンサーに結合している所にPRNCR1が結合してDOT1Lと相互作用することが、第二のlncRNAであるPCGEM1を、DOT1Lによってメチル化されたアンドロゲン受容体アミノ末端へと誘導するのに必要らしい。意外なことに前立腺がん細胞では、PCGEM1によって動員されるpygopus 2のPHDドメインが特異的なタンパク質標識を認識すると、アンドロゲン受容体が結合したエンハンサーで選択的なループ形成が促進されて、標的遺伝子のプロモーターの所へと誘導される。ホルモン「抵抗性」の前立がん細胞では、これらの過剰発現されたlncRNAは短縮型アンドロゲン受容体と完全長アンドロゲン受容体の両方に結合でき、この2種類の受容体のロバストな活性化には、これらのlncRNAが必要で、この結合によってアンドロゲン受容体を介したリガンド非依存的転写プログラムの活性化と細胞増殖が引き起こされる。去勢抵抗性前立がん細胞系列でこれらのlncRNAを標的とする短鎖ヘアピンRNAを条件的に発現させると、in vivoで腫瘍異種移植片の増殖が強く阻害された。まとめるとこれらの結果は、過剰発現しているこのようなlncRNAは、前立腺がんにおける去勢抵抗性に必要な成分として機能している可能性を示している。

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