細胞生物学:エンドサイトーシスのホスファチジルイノシトール-3,4-ビスリン酸による空間的・時間的制御
Nature 499, 7457 doi: 10.1038/nature12360
ホスホイノシチドは、細胞でのシグナル伝達から細胞内膜輸送まで、細胞の多様な生理学的性質に重要な役割を担っている。真核生物で見られる7種類のホスホイノシチドのうちで最もよく調べられているのがホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸(PI(4,5)P2)で、細胞膜に集中して存在し、そこで多様な機能を果たしており、特にクラスリン被覆ピットの核形成に不可欠な働きをしている。クラスリンを介したエンドサイトーシスに関与するとされているホスファチジルイノシトールはPI(4,5)P2だけだが、エンドサイトーシス経路のこの後に位置するエンドソーム段階では、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PI(3)P)が非常に重要な働きをする。しかし、PI(4,5)P2を含んだエンドサイトーシス中間体からPI(3)Pを含むエンドソームへの変換が起こる仕組みは、まだ分かっていない。今回我々は、クラスIIホスファチジルイノシトール-3-キナーゼC2α(PI(3)K C2α)によるホスファチジルイノシトール-3,4-ビスリン酸(PI(3,4)P2)の形成が、クラスリンを介したエンドサイトーシスを空間的・時間的に制御することを明らかにした。PI(3,4)P2やPI(3)K C2αが大幅に減少すると、後期のクラスリン被覆ピットが融合前に成熟できなくなる。後期エンドサイトーシス中間体でBARドメインタンパク質SNX9が選択的に濃縮されるためには、PI(3)K C2αによってPI(3,4)P2がタイミングよく形成される必要がある。これらの知見は、PI(3,4)P2がエンドサイトーシスで担う役割の機構的枠組みを示しており、細胞の主要な生理過程でPI(3,4)P2が担っている新規な、また別の機能を明らかにしている。

