Letter
生態:地下生物圏における遺伝子発現
Nature 499, 7457 doi: 10.1038/nature12230
海洋掘削調査によって、海底下堆積物の中に広範な種類の微生物からなる地下生物圏が存在することが明らかになっている。海面下の微生物代謝はおそらく、全球の生物地球化学的循環に重要な役割を担っているが、地下生物圏の活動はあまり解明されていない。今回我々は、ペルーマージンの海底下159 mまでの深さの嫌気性堆積物から最初の海底下メタトランスクリプトームを得て、その解析を行った。このトランスクリプトームに相当する相補的DNA(cDNA)のリード配列の数は10億を超えた。優占的な代謝過程はアミノ酸、糖質および脂質の嫌気的代謝と見られ、異化型亜硫酸レダクターゼ(dsr)転写産物のプロファイルは、間隙水の硫酸塩濃度のプロファイルと一致していた。さらに、細胞分裂に関与する転写産物は微生物細胞の濃度に応じて増加しており、このことは、海底下の微生物量の増加が生物の3ドメイン全ての細胞分裂に対応することを示している。今回のデータは、海底下の微生物代謝に関する計算やモデルを裏付けており、地下生物圏の活動に関する初めての全体像を示している。

