医学:HIV-1はウイルス組み込みの間にDNA依存性プロテインキナーゼを介してCD4細胞死を引き起こす
Nature 498, 7454 doi: 10.1038/nature12274
ヒト免疫不全ウイルス1型 (HIV-1)は世界中で6000万人以上に感染し、ほぼ3000万人を死亡させており、死亡はCD4+ T細胞の細胞溶解性感染の結果である。ヒトおよびマカクザル・モデルでは、CD4+ T細胞のほとんどがウイルスDNAを含んでおり、こうした細胞はウイルス血症のピーク時に速やかに抹殺されてしまうが、HIV-1がヘルパーT細胞死を誘導する機序は明らかになっていなかった。今回我々は、ウイルス誘導性の細胞殺傷がウイルスの組み込みによって引き起こされることを示す。野生型HIV-1による感染は、活性化した初代CD4リンパ球の細胞死を誘導したが、インテグラーゼ欠損変異株では細胞死が誘導されなかった。同様に、インテグラーゼ阻害剤であるラルテグラビルは、培養細胞あるいは急性感染患者由来のCD4+ T細胞の両方で、HIV-1誘導性の細胞殺傷を防止した。ウイルス組み込み時の殺傷機序には、DNA損傷応答の中心的な統率因子であるDNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)の活性化が関与しており、この酵素はp53とヒストンH2AXのリン酸化を引き起こした。DNA-PKの薬理学的阻害は、in vitroでHIV-1感染の際の細胞死を防止したので、CD4細胞でDNA-PK活性化を低下させる過程が潜在感染細胞の形成を促進し、それによってin vivoでリザーバーが生じることが考えられる。我々は、ウイルス組み込みの間のDNA-PK活性化がCD4+ T細胞の枯渇に中心的な役割を担っていると考えており、インテグラーゼ阻害剤およびDNA-PKの阻害が感染患者でのT細胞生存と免疫機能を改善する可能性が浮上してきた。

