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神経科学:RAS–MAPK–MSK1経路はSCA1でアタキシン1タンパク質の量と毒性を調節する
Nature 498, 7454 doi: 10.1038/nature12204
アルツハイマー病やパーキンソン病、ポリグルタミン病などの多くの神経変性疾患には、変異タンパク質の分解抵抗性や野生型タンパク質の過剰発現が引き起こす病因タンパク質の異常蓄積という共通の発症機構が見られる。我々は、疾患を進行させるタンパク質の量に影響を与える遺伝的ネットワークのスクリーニングにより、このような神経変性疾患に対する治療の糸口を見つけ出すための戦略を考案した。その手法は、並行して行った細胞基盤型のスクリーニングとショウジョウバエ(Drosophila)での遺伝的スクリーニングを統合するもので、我々はこれを、アタキシン1(ATXN1)のポリグルタミン鎖伸長によって起こる脊髄小脳失調症1型(SCA1)に適用した。この方法により、ショウジョウバエとマウスでRAS–MAPK–MSK1経路の複数成分の発現低下がATXN1量を減少させ、神経変性を抑制することが明らかになった。重要なことに、この経路の成分の薬理学的阻害物質でもATXN1量が減少するため、これらの成分はSCA1を改善する新たな治療標的になると考えられる。総合すると、以上のデータはSCA1に対する新たな治療の糸口を明らかにし、他の種類の難治性神経変性疾患に取り組むための原理証明となる。

