Letter
医学:ヒト皮膚における真菌群集および細菌群集の部位による多様性
Nature 498, 7454 doi: 10.1038/nature12171
運動選手の足や足指の爪の真菌感染症など、ヒトでよく見られる治療抵抗性の真菌性皮膚疾患についての微生物的な全体像は、従来の培養を基盤とする方法では完全に解明されていない。皮膚は、病原性微生物による侵入から人体を防御しており、また、さまざまな共生微生物叢の生息場所にもなっている。細菌のゲノム塩基配列データから、ヒト疾患に関わる細菌種や細菌群集構造についての新しい仮説が生まれている。しかし、微生物の多様性は細菌に限定されたものではなく、真菌などの微生物も、微生物群集の安定性やヒトの健康および疾患に大きな役割を担っている。真菌の種や群集を同定するゲノミクス手法は、細菌に利用可能な手法に比べて限定されている。真菌の進化は、リボソームRNA遺伝子領域や他の高度に保存された遺伝子などの系統発生マーカーを用いることで再構築が可能である。今回我々は、健康な成人10人の皮膚の14の部位について真菌群集の塩基配列解読と解析を行った。頭・胴体部(core-body)および腕部の11部位はマラセジア(Malassezia)属の真菌が優占しており、マラセジアの種レベルでの分類のみで、部位間の真菌群集構成の差異が明らかになった。対照的に、足の3部位(足裏のかかと、足指の爪、足指の間)では、真菌に高い多様性が見られた。細菌群集と真菌群集の並行解析から、皮膚の生理的特性と部位が、これら2つの微生物群集をそれぞれ特異的に作り上げていることが実証された。これらの結果は、病原性および共生性の真菌群集と細菌群集の間の相互作用が、ヒトの健康維持や疾患発症機序にどう関与しているのかをさらに調べるための枠組みになる。

