Letter
医学:TLR4アンタゴニストのエリトランは致死的なインフルエンザ感染からマウスを防御する
Nature 497, 7450 doi: 10.1038/nature12118
年1回接種するインフルエンザワクチンや、インフルエンザ感染の症状緩和効果があるとして認可された抗ウイルス薬に代わる予防・治療薬の開発は緊急性が高い問題である。これまでの研究から、化学物質あるいは微生物による傷害によって引き起こされる急性肺障害は、Toll様受容体4(TLR4)依存性炎症を強力に刺激する宿主由来の酸化リン脂質の生成に続いて起こることが知られている。それに続いて、我々はTlr4−/−マウスがインフルエンザが原因の死亡に極めて高い耐性を示すことを報告し、またTLR4シグナル伝達と拮抗するような治療法がインフルエンザ誘発性の急性肺障害を防ぐ可能性について論じた。本論文では、強力で忍容性良好な合成TLR4アンタゴニストであるエリトラン(別名E5564)の治療目的での投与が、マウスでインフルエンザ誘発性の致死を防ぎ、さらに肺の病変、臨床症状、サイトカインおよび酸化リン脂質の発現を阻止し、ウイルス価を低下させることを報告する。エリトランが仲介する防御効果にはCD14とTLR2も必要であり、CD14は直接エリトランに結合して、MD2へのリガンド結合を阻害する。したがって、エリトランによるTLRシグナル伝達の遮断は、インフルエンザに関連する炎症に加えて、それ以外の感染にもおそらく使用可能な新規の治療法となる。

