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構造生物学:Gタンパク質共役受容体由来のリン酸化ペプチドに結合した活性なβアレスチン1の構造

Nature 497, 7447 doi: 10.1038/nature12120

Gタンパク質共役受容体(GPCR)の機能は、ヘテロ三量体Gタンパク質、Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)とアレスチンという3種類のタンパク質ファミリーによって主に仲介、修飾されている。Gタンパク質は二次メッセンジャー産生酵素などのエフェクタータンパク質の活性化に関わり、GRKは活性化された受容体をリン酸化し、それに続いてアレスチンがリン酸化された受容体に結合して受容体を脱感作する。リン酸化受容体との結合によって活性化されたアレスチンはまた、さまざまなシグナル伝達経路と受容体を結ぶアダプターとして働くことで、Gタンパク質とは無関係なシグナル伝達も仲介している。GPCRの調節とシグナル伝達に重要な役割を果たすにもかかわらず、βアレスチンの活性化やGPCRとの相互作用に関する構造面からの解明はいまだになされていない。今回我々は、βアレスチン1(別名アレスチン2)の、ヒトV2バソプレッシン受容体カルボキシ末端由来の29個のアミノ酸からなる完全リン酸化ペプチド(V2Rpp)と複合体を形成した状態での結晶構造を報告する。このペプチドはβアレスチン1を機能的かつコンホメーション的に活性化することが、これまでに明らかにされている。この活性型コンホメーションの捕捉には、βアレスチン1のリン酸化ペプチドによる活性化状態を認識する、コンホメーション選択的な合成抗体断片(Fab30)を用いた。βアレスチン1–V2Rpp–Fab30複合体の構造から、不活性な場合に比べてβアレスチン1のコンホメーションに明らかな変化が生じていることがわかった。その中には、アミノ末端ドメインとカルボキシ末端ドメインが互いに対して回転していることや、βアレスチン1の不活性化状態の維持に関わる「投げ縄状ループ」の大幅な配向変化などがある。これらの結果は、βアレスチン1の受容体結合面の構造を高分解能で明らかにしており、シグナル伝達と調節に関わるこのような多機能タンパク質活性化の、一般的と思われる分子機構を示している。

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