進化:主竜類の鳥類系統における体型の進化と運動生体力学的特性の結びつき
Nature 497, 7447 doi: 10.1038/nature12059
現生鳥類(新鳥類)の移動運動には顕著な特徴が2つある。それは羽毛の助けを借りた飛翔と、異例に前かがみで後肢を曲げた姿勢を用いた二足による体の支持および移動である。この2つの決定的な機能的形質がいつどのように進化したのかについては、いまだに異論が多い。しかし、コンピューターによるモデル作成法が登場し、保存状態の極めて良い重要な化石標本が発見されたことで、現在は、全身の形態に関する定量的なデータを使ってこの問題の根本にある生体力学に取り組むことが可能となっている。今回我々は、デジタル技術で体形を復元する手法を用いて、分岐群「主竜類」の運動生体力学(全身の比率および重心の位置)の進化的傾向を定量化した。三次元デジタル復元法により、保存状態が極めて良好な、羽毛を有する分類群のミクロラプトル、始祖鳥、ペンゴルニス、およびイシャノルニス(いずれも鳥類のボディープランの進化で重要な段階に相当する)などの祖先的な鳥類系統の主竜類17種に関して、骨格の寸法から体型が推定された。今回得られた結果は、最も原始的な鳥類(鳥群;Avialae)およびそれにごく近い外群のデイノニコサウルス類ではより直立に近い姿勢からの離散的移行があったという仮説ではなく、体をより前かがみにして肢を曲げた姿勢が獣脚類進化のかなりの期間にわたって漸進的・段階的に獲得されたという仮説を裏付けている。ただし、分岐群マニラプトル類(鳥類とそれに最も近縁のデイノニコサウルス類などを含む)の内部には高速の変化を示す証拠が認められる。また、尾の縮小は、重心の位置、ひいては後肢の姿勢の進化と相関する主要な形態的要因であると広く考えられているが、我々は、胸部にある前肢の拡大とそれに関連するいくつかの傾向の方が、はるかに強く影響していたことを見いだした。興味深いことに、マニラプトル類で形態機能的な傾向の加速が始まったことを裏付ける我々の結果は、飛翔の進化と密接に相関している。大きな前肢の進化が全身の重心を介して陸上移動運動時の後肢の機能と強く結びついていることがわかったことから、鳥類の飛翔の進化には胸部の前肢だけでなく、腰部の後肢の構造的新機軸も関連すると考えられる。

