Letter

医学:デング熱の世界的分布と疾病負荷

Nature 496, 7446 doi: 10.1038/nature12060

デング熱は、ヤブカ属(Aedes)の蚊に媒介されてヒトからヒトへと感染する全身性ウイルス感染症である。一部の患者では、デング熱が命に関わる場合もある。現在のところ、認可されたワクチン、あるいは特異的な治療薬はなく、媒介する蚊の防除にかなりの努力がなされているが、デング熱の急速な発生と世界的な広がりを止めることはできずにいる。デングウイルスの感染リスクの現在の世界的分布や、それが公衆衛生にもたらす負荷については、ほとんどわかっていない。今回我々は、世界中のデング熱発生の記録の徹底的な収集を企て、正式なモデル化の枠組みを使ってデング感染リスクの世界的分布図を作成した。次に、得られたリスク分布図と、デングコホート研究からの詳細な長期的情報および人口分布面(population surface)とを組み合わせて、2010年におけるデング熱の疾病負荷を推定した。デング熱は熱帯の至るところに蔓延すると予測され、そのリスク分布には、降水量、気温および都会化の程度に強く影響を受ける局所的な空間変動が見られる。我々は地図作成手法を使って、デング熱感染件数は年間3億9000万(95%信頼区間2億8400万〜5億2800万)で、そのうちの9600万(6700万〜1億3600万)が顕在化する(あらゆる重症度の例が含まれる)と推定した。この総感染件数は、世界保健機関(WHO)が推定するデング熱疾病負荷の3倍以上である。顕性感染が公式に報告される確率を考慮に入れる必要はあるが、我々の推定値を国ごとに層別化することで、各国のデング熱報告との比較が可能になる。そのうち最も顕著な差異について検討した。これらの新しいリスク分布図と推定感染件数によって、デング熱による世界全体、地域および国レベルの公衆衛生負荷について、全く新しい考察が得られる。これらは、デング熱が世界に及ぼす影響について幅広く議論するための出発点となり、ワクチンや薬剤、媒介動物防除によるデング熱抑制戦略の改善や、それらの経済的評価の向上に役立つと期待される。

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