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遺伝:ゼブラフィッシュのタンパク質コード遺伝子の機能に関するゲノム全域での系統的解析

Nature 496, 7446 doi: 10.1038/nature11992

ヒトゲノム参照配列の発表以来、ヒトの疾患に関連する特異的遺伝子が続々と明らかにされている。ただ、大きな問題の1つは、これらの遺伝子の生物学的働きが不明な場合が多いことである。これらの疾患関連遺伝子の多数あるオルソログの働きを理解するには、脊椎動物モデルでの詳しい研究が不可欠であり、通常はマウスが使われている。遺伝子ターゲッティング法と表現型解析によって詳細な解明に至ったタンパク質コード遺伝子の数は6000個近くにもなるが、マウスのタンパク質コード遺伝子は2万2000個を超えており、数ではまだ遠く及ばない。ゼブラフィッシュの遺伝学研究でも、ポジショナルクローニングや挿入変異生成、アンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチド、標的領域配列の再解読、ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼおよびTALエンドヌクレアーゼを用いて遺伝子1個ずつを調べる研究が脊椎動物遺伝子の生物活性の解明に大きく貢献してきてはいるが、調べられた遺伝子の数は、2万6000個以上というゼブラフィッシュのタンパク質コード遺伝子の数には同じく程遠い。重要なのは、マウスの場合もゼブラフィッシュの場合も、前述したような方法の中には、何千個もの遺伝子のノックアウト体を迅速に作製してその生物活性を調べるのに特に適した方法が1つもないことである。本論文では、詳細に注釈付けされたゼブラフィッシュゲノム参照配列、ハイスループットDNA配列解読法および高効率の化学的変異誘発法を使って、ゼブラフィッシュの全タンパク質コード遺伝子の破壊的変異を突き止め、それらの表現型を明らかにすることを目標にして進行中のプロジェクトについて報告する。これまでに、ゼブラフィッシュの既知の全タンパク質コード遺伝子の38%以上で、破壊的変異の候補を明らかにした。また、個々の対立遺伝子の胚発生における作用を効率よく評価できる複対立遺伝子表現型解析法を開発し、1000個以上の対立遺伝子について表現型に及ぼす影響を解析した。すべての変異対立遺伝子とデータは公開されており、今回開発した表現型解析法は、胚発生以外の表現型解析にも応用可能である。

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