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免疫:塩化ナトリウムは病原性TH17細胞の誘導によって自己免疫疾患を発症させる

Nature 496, 7446 doi: 10.1038/nature11868

過去50年間に、自己免疫疾患の発症率は著しく上昇している。この種の疾患の原因となっている遺伝学的基盤は最近明らかにされ、免疫応答遺伝子が主に関与していることが示されたが、こうした増加の原動力となっているのは、究極的には環境因子の変化だろうと考えられる。自己免疫疾患では、新たに見つかったインターロイキン(IL)17産生CD4+ヘルパーT細胞(TH17細胞)集団が重要な役割を担っている。病原性のIL-23依存性TH17細胞は、多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の発症にきわめて重要であることが示されており、また多発性硬化症に関連する遺伝的なリスク因子はIL-23–TH17経路に関わっている。しかしながら、TH17細胞に直接影響する環境因子についてはほとんど知られていない。今回我々は、in vivoの生理的条件下で局所的に認められる塩(塩化ナトリウム、NaCl)濃度の上昇が、マウスおよびヒトのTH17細胞の誘導を著しく増強することを示す。サイトカインで誘導されるTH17の極性化の際には、NFAT5(nuclear factor of activated T cells 5、別名TONEBP)およびSGK1(serum/glucocorticoid-regulated kinase 1)が関与するp38/MAPK経路が高塩濃度条件によって活性化される。p38/MAPK、NFAT5またはSGK1の遺伝子サイレンシングもしくは化学的阻害は、高塩濃度によって誘導されるTH17細胞の発生を停止させる。高塩濃度条件下で生じたTH17細胞は、非常に高い病原性と炎症性サイトカインGM-CSF、TNF-αおよびIL-2の発現増加を特徴とする安定した表現型を示す。さらに、高塩食を与えられたマウスはより重症度の高いEAEを発症し、これは末梢で誘導され中枢神経系に浸潤する抗原特異的TH17細胞の増加と一致している。したがって、食餌からの塩分摂取の増加は、病原性TH17細胞の誘導を介して自己免疫疾患の発症に対する環境的リスク因子となる可能性がある。

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