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物性:フォトニックFloquetトポロジカル絶縁体

Nature 496, 7444 doi: 10.1038/nature12066

トポロジカル絶縁体は物質の新しい相であり、電子伝導がそれらの表面上でのみ起こるという際立った性質を示す。二次元では、トポロジカル絶縁体表面の電子は欠陥や乱れがあっても散乱されず、超伝導体の場合と似たロバスト性が生じる。トポロジカル絶縁体はフォールトトレラント量子計算やスピントロニクスにおいて広範囲に応用できると予測されている。電磁波に対するトポロジカル絶縁体の実現に向けて、かなりの研究が行われている。トポロジカル・エッジ状態を持つ一次元系が存在することは実証されたが、これらの状態はゼロ次元であり、そのため輸送特性を示さない。マイクロ波がトポロジカルに保護されることは、量子ホール効果と類似した機構、すなわち外部磁場中に磁気回転フォトニック結晶を配置することにより観測されている。しかし、光周波数では磁気効果が非常に弱いため、散乱のないエッジ状態を持つフォトニック・トポロジカル絶縁体を実現するには、例えば磁場を必要としないといった基本的に異なる機構が必要になる。最近、フォトニック・トポロジカル輸送に関して数多くの提案がなされている。その1つとして、フォトニック結晶を時間変調することで時間反転対称性を破り、一方向のエッジ状態を誘起する手法が提案された。これはFloquetトポロジカル絶縁体の提案にのっとって、固体系の時間変動によりトポロジカル・エッジ状態を誘起するものである。本論文では、外部磁場を必要とせず、散乱のないエッジ輸送を示すフォトニック・トポロジカル絶縁体を提案し、実験により実証した。我々のフォトニック・トポロジカル絶縁体は、格子のエッジ上においてトポロジカルに保護された可視光の輸送現象を示すフォトニック格子である。我々の系は、グラフェン型のハニカム格子に配列したエバネッセント結合のらせん導波路アレイで構成される。光の近軸回折は、伝搬座標(z)が「時間」としてふるまうシュレーディンガー方程式により記述される。そのため、Floquetトポロジカル絶縁体で提案されているように、導波路のヘリシティによってz反転対称性が破れる。散乱からトポロジカルに保護された一方向のエッジ状態が、この構造から生じる。

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