神経科学:発散性神経路は不安の分離可能な特徴を集めて1つの行動状態を作る
Nature 496, 7444 doi: 10.1038/nature12018
不安状態などの哺乳類の行動状態は、いくつかの特徴によりその特性が描写され、それらの特徴は、行動パターンの選択から生理的変化に至るさまざまな神経系出力によって協調的に調節されている(例えば不安では、行動選択の例は危険回避であり、生理変化の例は呼吸数変化である)。本研究では、不安状態のさまざまな特徴が、マウスでは協調を担う単一の脳領域から発する神経投射で決まるのか、もしそうならどのようにしてそれが起こるのかを調べた。行動分析、in vivoとin vitroの脳での電気生理学測定、呼吸生理学および光遺伝学の手法を組み合わせ、我々は、さまざまな不安の特徴の協調的調節に分界条床核(BNST)が意外な役割を持つことを明らかにした。まず、BNST内の2つの亜領域が、不安状態に相反的な作用を持つという予想外の知見が得られた。BNST楕円部の活動は、いくつかの独立な不安状態の特徴を促進したのに対し、BNST前背側部に関連した活動は同じ特徴に対して抗不安作用を発揮した。 特に、BNST前背側部から発して外側視床下部、傍小脳脚核、腹側被蓋野に投射する3つの異なる遠心路が、それぞれ危険回避行動の減少、呼吸数の低下、正の誘発性の上昇に対応する独立した抗不安作用を持つという発見は重要である。また、自由行動下のマウスで当該回路要素を選択的に抑制すると、それを興奮させたときとは反対の行動効果が現われ、自由行動下でのin vivo電気生理記録では、環境の安全性と不安惹起性を識別するBNST前背側部ニューロンに固有の発火パターンが見られた。これらの結果から、BNST内の別個の亜領域が不安の調節に相反的な効果を持つことが実証され、BNST前背側部からの異なる投射路が抗不安作用において異なる役割を持つことが明らかになり、不安状態という集合体の特徴の選択の基礎となる回路機構が説明される。

