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細胞:初期の造血系前駆細胞に見られる遺伝性の多様な細胞系譜インプリンティング

Nature 496, 7444 doi: 10.1038/nature12013

造血幹細胞(HSC)やそれが分化して生じる前駆細胞は血液細胞を生み出すが、この産生の正確な性質や動態については議論が続いている。モデルの1つでは、リンパ球や骨髄性細胞の産生は、リンパ球系多能性前駆細胞(lymphoid-primed multipotent progenitor;LMPP)が生じた後に分岐し、その後分岐したどちらの系譜も樹状細胞を生み出すとされる。しかし、このモデルは主にin vitroでのクローン解析と、in vivoでの細胞集団レベルでの追跡によるものであり、in vivoでの単一細胞が持つ複雑さを見逃している可能性がある。本研究では、新たな定量的「細胞バーコーディング」法を用いて、in vivoで数百個のLMPPとHSCを単一細胞レベルで運命追跡することで、このような問題を回避した。得られたデータから、LMPPは自身が生み出す細胞タイプの不均一性が非常に高く、リンパ球系、骨髄細胞系、樹状細胞系の産生傾向を持つ集団に分けられることが明らかになった。これとは逆に、HSCでは一部に既知の細胞系譜傾向が観察されたものの、産生された細胞のほとんどは少数のHSCに由来し、それらのどのHSCもすべての細胞タイプを生み出していた。重要なのは、単一のLMPPに由来する姉妹細胞が生み出す細胞のin vivo解析では、これらの細胞が類似した運命をたどる場合が多いことが示され、その前駆細胞は運命がインプリントされていると考えられることである。さらに、このインプリンティングは樹状細胞を産生する傾向があるLMPPでも観察されるため、樹状細胞は異なる祖先に基づく独特な系譜と考えられる可能性がある。以上の結果は、遺伝性の多様な細胞系譜のインプリンティングは、これまでに考えられていたよりも早く起きているという、造血系の「段階的拘束」モデルを示唆している。

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