Letter

ゲノミクス:タルホコムギの概要ゲノム配列が示す、コムギの適応のための遺伝子レパートリー

Nature 496, 7443 doi: 10.1038/nature12028

およそ8000年前、肥沃な三日月地帯において、野生の二倍体イネ科植物のタルホコムギ(Aegilops tauschii;2n = 14;DD)と、栽培化されていた四倍体のリベットコムギ(Triticum turgidum;2n = 4x = 28;AABB)の自然交雑が起こり、六倍体のパンコムギ(T. aestivum;2n = 6x = 42;AABBDD)が誕生した。コムギはその後、幅広い気候への適応能力を高め、小麦粉を作るための穀粒品質を向上させた結果、世界の主要な食用作物の1つとなった。本研究では、タルホコムギ(Ae. tauschii)のゲノム塩基配列を解読し、さまざまな挿入サイズのライブラリーから約90倍の読み取り深度の短いリード配列を得て、遺伝学的に複雑なこの植物のさらなる解明を試みた。組み上げた足場配列はゲノムの83.4%に当たり、そのうち65.9%が転位性遺伝因子からなっていた。包括的なRNA-Seqデータを生成し、それを利用して43,150個のタンパク質コード遺伝子を同定し、そのうち30,697個(71.1%)が、統合された高密度遺伝子地図の染色体に対して特異的に位置付けられた。全ゲノム解析から、タルホコムギで耐病性、非生物的ストレス許容性や穀粒品質に関連し、農業に関わる遺伝子ファミリーが拡大していることが明らかになった。この概要ゲノム配列は、パンコムギの環境適応を理解するための手がかりとなり、コムギ種の巨大で複雑なゲノムを解明するのにも役立つと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度