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微生物学:赤痢菌の毒性因子IpaJによるタンパク質分解性のN-ミリストイル修飾除去

Nature 496, 7443 doi: 10.1038/nature12004

タンパク質のN-ミリストイル化は、炭素数14の脂肪酸による修飾で、真核生物種全般にわたって保存されており、細胞プロテオームのほぼ1%に起こる。タンパク質–タンパク質およびタンパク質–細胞膜間の動的な相互作用を促進する能力(ミリストイルスイッチとして知られる)により、ミリストイル基は多くのシグナル伝達系に不可欠な特徴となっている。したがって、タンパク質の脱ミリストイル化を促進する病原体の戦略は、感染宿主細胞のシグナル伝達の全体像を顕著に変化させると考えられる。本論文では、IpaJ(invasion plasmid antigen J)によって触媒されるタンパク質の不可逆的な脱ミリストイル化機構について説明する。IpaJは、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)のシステインプロテアーゼ活性を持つIII型エフェクタータンパク質で、これまで特徴が明らかになっていない。IpaJの基質についての酵母の遺伝学的スクリーニングにより、ゴルジ装置を介した積み荷輸送を調節する低分子量GTPアーゼであるADPリボシル化因子、ARF1pおよびARF2pが同定された。質量分析から、IpaJがヒトARF1のN-ミリストイル化された2番目のグリシンと3番目のアスパラギンの間のペプチド結合を切断することが示され、病原菌が宿主の分泌を抑制する新しい機構が明らかになった。我々はさらに、IpaJが、細胞増殖、シグナル伝達、オートファゴソームの成熟および細胞小器官機能に関与する多くのN-ミリストイル化タンパク質を切断することを実証した。まとめると、これらの知見は、N-ミリストイル化によるタンパク質修飾の部位特異的除去というこれまで明らかにされていなかった病原性機構を示している。

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