Letter
物理:単一光子カー効果による量子状態の崩壊と再生の観測
Nature 495, 7440 doi: 10.1038/nature11902
量子情報プロトコルに用いる光の非古典状態を生成・操作するには、単一光子レベルでの強い非線形相互作用が必要となる。これに適した相互作用を生成する1つの方法は、共振器量子電気力学系における強結合領域のように光子を原子と結合させることである。しかし、このような系では、光の量子状態は原子の操作を通じて間接的にしか制御されない。直接の光子–光子相互作用はいわゆるカー媒質中で生じるものの、通常のカー媒質では著しい損失と引き換えにきわめて弱い非線形性しか誘起されない。これまで、個々の光子間の相互作用強度がこの損失率を超える、単一光子カー領域に到達するのは不可能であった。今回我々は、三次元回路量子電気力学アーキテクチャーを使って、この単一光子カー領域に到達し、新しい量子効果を観測できる人工のカー媒質を構築した。コヒーレント状態の崩壊と再生が観測できる思考実験を実現した。この時間発展は、共振器中の光電場が量子化され、個々の光子間に非線形相互作用が生じた結果である。この時間発展の間に、コヒーレント状態の非古典的な重ね合わせ(すなわち、多成分シュレーディンガーの猫状態)が形成される。伏見Q関数の測定で時間発展を可視化し、共振器状態のトモグラフィーにより、これらの過渡状態が非古典的な性質を持つことを確かめた。このような高Q値の光子モードにコヒーレント状態の重ね合わせを生成・操作できることから、連続変数の物理と超伝導回路を組み合わせる展望が開かれる。単一光子カー効果は、光子の量子非破壊測定、単一光子の発生、自律的な量子フィードバックスキーム、量子論理操作に利用できるであろう。

