Letter

生態:人類による持続的な撹乱に伴う多様性の減少は生態系の崩壊に対する脆弱性を高める

Nature 494, 7435 doi: 10.1038/nature11869

人類による長期の持続的な撹乱は、侵入抵抗性などの機能的特性を直接低減させ、またその一方で高度な種多様性の持つ緩衝作用を消失させるような撹乱を伴うことで、生態系の安定性と多様性を同時に変化させてきた。このような環境変化と多様性減少の組み合わせによって、生態系が突然、場合によっては不可逆的に崩壊するリスクが高まることは、理論的に予測されているが、自然の系からの長期の実証的証拠は得られていない。今回我々は、劣化はしているものの種数は豊富な火成草原(pyrogenic grassland)でこの関係を明らかにする。この場所では、火災の鎮静、侵入および栄養的崩壊からなる複合的な作用によって種数の少ない草原が生じた。この草原は生産力が高く、毎年の気象の変動に対して回復力もあり、侵入に対する抵抗性を有していたが、火災の再発後の急速な崩壊には脆弱であった。我々はまず、理論的予測に反して、人為的撹乱が生態系の多様性と機能の間に負の関係を生み出したことを明らかにする。19世紀半ば以降の防火対策は、植物種の減少につながるが、管理された高収量・低多様性の農業システムに匹敵する高い年間生産力および侵入抵抗性を定着させきてた。しかし、防火管理を行うと、突然の環境変化に対する隠れた脆弱性が現れ、このことは高度な種多様性の持つ緩衝作用の消失によって説明される。火災が再発すると、自生種が集中的に残存する地域でのみ草原が存続し、そこでは火入れの後に、希少で機能的にはほぼ重複する植物群が繁茂して、林地への急速な転換などの大規模な侵入を防ぐ。本研究は、機能的には重要でないようにこれまで見えていた生物多様性が、どのようにして生態系の安定性に必須なものとなりうるかを示している。広範な長期の土地管理と種の減少の組み合わせが世界中で広く見られることを考えれば、こうした生物多様性と生態系の安定性とのこうした関係はおそらく多くの生態系にあてはまるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度