Letter

気候:最終退氷期における南半球気候に対する北半球の強制

Nature 494, 7435 doi: 10.1038/nature11822

ミランコビッチ理論によれば、北半球高緯度域の夏季の日射量の変化は、氷床の質量収支への影響を通して、氷期サイクルをもたらした。長期の気候記録の統計的分析は、この理論を裏付けたが、南半球の気候の変化が北半球の気候の変化に同期していたか、先んじていたことも示され、かなりの難問が提起された。軌道強制された北半球のシグナルが南半球に伝達された可能性があるが、日射強制力も、南半球の局地気候に直接影響を与えることができ、海氷フィードバックによって増強される可能性があるので、両半球が軌道強制力のさまざまな側面に対し独立して応答した可能性があることが示唆される。しかし、気候記録のシグナルの処理はこれらの状況を識別することが出来ない。なぜなら、提案された日射強制力は本質的に同一の変動を共有しているからである。本論文では、大気海洋結合大循環モデルによる過渡シミュレーションを用いて、最終退氷期の前半(22〜14.3 kyr BP)における、軌道、大気中CO2濃度、氷床、大西洋の南北方向の鉛直循環(AMOC)の変化による強制力の半球気温に対する影響を識別している。単一のモデルに基づいてはいるが、軌道変化のみによる我々の過渡シミュレーションは、北半球の中緯度域から高緯度域における春季と夏季の日射量の増加と、陸域の雪アルベドフィードバックによって最終退氷期が始まったことを示して、ミランコビッチ理論を裏付けている。すべての強制力を与えたシミュレーションは、退氷期の代理指標記録における南半球の表面温度の変動の時機と規模を最もよく再現している。軌道によって生じた北半球の氷床の後退に伴うAMOCの変化は、南半球の退氷期初期の温暖化と、それが北半球の温度に先行することに対する最も妥当な説明となる。続いて起こった大気中CO2濃度の上昇は、全球的な退氷に対し決定的なフィードバックをもたらした。

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