Letter
発生:有糸分裂細胞の球形化が上皮の陥入を加速する
Nature 494, 7435 doi: 10.1038/nature11792
有糸分裂中の細胞では、間期のアクチン細胞骨格が表層の網目構造へと、微小管が紡錘体へと大規模に再編成され、表面張力と浸透圧が上昇することによって球形になると考えられている。分裂期への進入は、頂端部の収縮のような、間期細胞骨格によって制御される細胞の形態変化を必要とする組織の形態形成イベントを妨げることが知られている。しかし今回我々は、ショウジョウバエDrosophila melanogasterの気管原基での上皮陥入に、有糸分裂が積極的にかかわっていることを明らかにする。上皮陥入は、上皮増殖因子受容体(EGFR)シグナル伝達による制御の下でゆっくりと始まる。この過程では、頂端が収縮した中央の細胞が浅いへこみを作り、その周辺の細胞はほかの細胞に割り込むように移動する(インターカレーション)。このゆっくりした段階に続いて、へこみが一気に深くなる急激な陥入が起こり、気管原基の全細胞が内側に入り込む。この陥入の加速には、中央の細胞の分裂期球形化が必要であり、その細胞分裂自体は不必要だが、EGFRが引き起こす周辺細胞のミオシンIIの収縮力との連動が必要であることがわかった。このように、有糸分裂する細胞の球形化が引き金となって上皮が圧力に抵抗できなくなり、これが、適切なタイミングで形態形成過程を進行させるスイッチの働きをすると考えられる。

