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宇宙:超新星1987Aの残骸における44Tiの放射性崩壊からの硬X線輝線

Nature 490, 7420 doi: 10.1038/nature11473

44Tiの放射性崩壊は、56Coと57Co(超新星爆発後の最初の3〜4年でエネルギーバランスを支配する同位体)が完全に崩壊した後、放出物質と周辺物質との活発な相互作用が始まるまで、超新星残骸の赤外線、可視光、そして紫外線の放射にエネルギーを供給すると考えられている。シミュレーションでは、重力崩壊型超新星で元素合成された 44Ti の初期質量が、太陽質量(M)の(0.02〜2.5)×10 −4倍であることが示されている。この44Tiの放射性崩壊による硬X線とγ線が明確に観測されているのは、カシオペア座A星からのみであり、このことから、44Tiの初期質量の値が予測の上限値付近になるのは、例外的な場合だけであると推測されている。超新星1987Aの残骸に対しては、10−3M未満という44Tiの初期質量の上限がX線の直接観測から得られており、複雑でモデルに依存した計算によって、赤外線光度曲線と紫外線スペクトルから(1〜2)×10−4Mという推定値が得られている。本論文では、44Tiの67.9 keVと78.4 keVという2本の直接脱出する(direct-escape)線を含む狭波長帯での、1987Aの超新星残骸からの硬X線の観測について報告する。計測された輝線のフラックスから、この放射性崩壊が後期に超新星残骸を駆動させるための十分なエネルギーを供給したことが示唆される。44Tiの初期質量は(3.1±0.8)×10−4Mであると推定され、理論的な予測の上限値に近い。

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