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医学:VEGF-Bを標的とすることによる、インスリン抵抗性と2型糖尿病の新規治療法

Nature 490, 7420 doi: 10.1038/nature11464

2型糖尿病の有病率は急速に増加しており、社会経済に深刻な影響を与えている。末梢組織への過剰な脂質沈着は、インスリン感受性を損ない、グルコースの取り込みを妨げ、2型糖尿病発症の一因になると考えられている。しかし、異所性の脂質蓄積を直接の標的とした治療法はほとんど見つかっていない。最近、血管内皮細胞増殖因子B(VEGF-B)が心臓や骨格筋で脂肪酸の内皮細胞における取り込みや輸送を制御していることが明らかになっている。今回我々は、2型糖尿病のげっ歯類モデルでVEGF-Bシグナル伝達を減少させると、インスリン感受性が回復し、耐糖能が改善することを明らかにした。糖尿病性db/dbマウスでVegfb遺伝子を欠失させると、異所性の脂質沈着が防がれ、筋肉のグルコース取り込みが増え、正常血糖が維持された。db/dbマウスに抗体を投与してVEGF-Bシグナル伝達を薬理学的に阻害すると、耐糖能が高まり、膵島の構造が保護され、β細胞の機能が回復し、脂質異常症が改善された。これらの改善された特徴は、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの重要な要素である。VEGF-Bの中和が2型糖尿病の治療にどのように利用できるか、高脂肪食を与えたラットでさらに調べたところ、インスリン感受性が正常化し、骨格筋と心臓でのグルコース取り込みが増加した。これらの結果から、重度の肥満や2型糖尿病という病態下にあっても、血管内皮は筋肉の過剰な脂質取り込みを防ぐための有効な障壁になりうること、VEGF-Bシグナル伝達の阻害によってこの障壁が維持できることが実証された。我々は、VEGF-Bの拮抗阻害が2型糖尿病の新しい薬理学的治療法となり、内皮の脂質輸送特性を標的にして筋肉のインスリン感受性と糖処理を改善できると考えている。

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