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遺伝:成人脳のトランスクリプトームを解剖学的に解析した包括的アトラス
Nature 489, 7416 doi: 10.1038/nature11405
神経解剖学的に詳細なゲノム全域にわたる転写産物分布マップは、ゲノム塩基配列データを補完し、脳の機能的構造と遺伝的構造を相関させるうえできわめて重要な情報源となる。今回我々は、成人2人の脳の神経解剖学的に明確な約900の小区画について、大規模な組織学的解析ならびに包括的なマイクロアレイプロファイリングからなる、成人脳の転写アトラスの作成および解析を行った。転写調節は解剖学的部位によって大きく異なっており、領域ならびにその領域を構成する細胞種に応じて明確な分子的特徴を示し、それは個体間で高度に保存されている。差異のある遺伝子発現および遺伝子共発現の関連性解析から、脳全体にわたる変動は、ニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、ミクログリアなどの主要な細胞種の分布を強く反映することが明らかになった。細かい解剖学的小区画の間の局所的な近隣関係には、離散的なニューロンサブタイプならびにシナプス伝達に関与する遺伝子との関連性が認められる。新皮質は比較的均一な転写パターンを示すが、一次感覚運動皮質および前頭葉での発現上昇と選択的に関連する顕著な特徴が見られた。特に、新皮質の空間トポグラフィーは、その分子トポグラフィーに強く反映されており、2つの皮質領域が近接しているほど、それらのトランスクリプトームの類似性は高くなっている。この自由に利用可能なオンラインデータリソースは、ヒトの正常および異常な脳機能を神経遺伝学の面から研究するうえで、転写に関する高精度の基本情報となる。

