Letter
物性:電荷移動錯体の超分子ネットワークにおける室温強誘電性
Nature 488, 7412 doi: 10.1038/nature11395
自発電気分極を示し、互いに逆平行な配向の間を容易に分極スイッチング可能な材料は、センサーやフォトニックデバイス、高エネルギー効率メモリーの用途に有用だと考えられる。この関連で、有機強誘電体は特に興味深い。それは、軽量、安価であり、デバイスに加工するのが容易であることが見込まれるからである。最近確認された有機強誘電体構造体群は、分子間電荷移動を利用している。すなわち、ドナー分子とアクセプター分子が交互に並ぶように共結晶化し、これは混合積層と呼ばれ、この結晶格子内でドナー分子からアクセプター分子に電子が集団的に移動することにより双極子の形成が起こる。双極子は、外部電場を印加することによって再配列するが、これは混合積層において分子がパートナーを切り替えるためである。混合積層は広く研究されてきたが、強誘電スイッチングを示すのは3つの系が知られているだけであり、いずれもスイッチングが起こるのは71 K未満である。今回我々は、強誘電分極スイッチングが起こり、室温を超える強誘電キュリー温度を示す超分子電荷移動ネットワークについて報告する。このスイッチング可能な分極系では、混合積層における水素結合ネットワークとドナー・アクセプター分子の電荷移動錯体生成との構造的相乗効果が利用されている。今回の超分子モチーフは、常温で電場の影響を受けて分極(電気変位)をスイッチングできるその他の機能性有機系の開発指針を得るのに役立つかもしれない。

