Letter 細胞:真菌での選択的スプライシングや終止コドン読み過ごしによって起こる、隠れたペルオキシソーム送達 2012年5月24日 Nature 485, 7399 doi: 10.1038/nature11051 ペルオキシソームは真核生物の細胞小器官で、長鎖脂肪酸の代謝に重要な働きをする。今回我々は、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)や3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)などの、解糖系のいくつかの重要な酵素が細胞質とペルオキシソームの両方に存在することを多数の真菌類で明らかにした。これらの酵素中には、転写後の処理によって活性化される、潜在的な1型ペルオキシソーム局在化シグナル(PTS1)が見つかった。ペルオキシソーム型アイソフォームを生じさせる分子機構が種によってかなり異なっていることは注目すべきである。担子菌の1つで植物病原菌であるトウモロコシ黒穂病菌Ustilago maydisでは、Pgk1がペルオキシソームに送られるのはリボソームでの読み過ごしによるが、GapdhのPTS1は選択的スプライシングによって生じる。糸状子嚢菌Aspergillus nidulansでこれらの酵素をペルオキシソームへ到達させるのは、これと全く逆の機構によっている。また、解糖系の酵素であるトリオースリン酸イソメラーゼとフルクトースビスリン酸アルドラーゼにもPTS1モチーフが検出される。Gapdh、Pgk1のペルオキシソーム型アイソフォームを持たないU. maydis変異体は、毒性が低下していた。さらに変異解析によって、GAPDHなどの、ペルオキシソームのNADH依存性デヒドロゲナーゼ類は、酸化還元の恒常性維持に役割を果たしていることが示唆された。詳細に研究されている細胞質酵素の一部がペルオキシソームに送られていることは、そうした性質が隠されていたためにこれまで気付かれていなかった。したがって、真の細胞質タンパク質でこれと同じ様な2通りの局在化をするものは、ほかにももっとあると予想される。 Full Text PDF 目次へ戻る