Letter

進化:カルコンイソメラーゼの折りたたみにおける、脂肪酸結合タンパク質から立体特異的触媒への進化

Nature 485, 7399 doi: 10.1038/nature11009

特化した代謝酵素は、生態学的に重要な化学物質を生合成しており、多くの場合、一次代謝の酵素と起源を共有している。しかし、酵素であるカルコンイソメラーゼ(CHI)がどの系統に属するのかはわかっていなかった。維管束植物でCHIが触媒するカルコンのキラル(S)-フラバノンへの変換は、誘引や防御、発生にかかわる化合物である植物フラボノイドの生成に向けた過程である。CHIは、立体特異的な制御によって拡散律速限界近傍で作用する。CHIは主に植物に関係している酵素だが、CHIで見られる折りたたみ(フォールド)は、ほかのいくつかの真核生物系統や一部の細菌でも見られる。今回我々は、植物由来で触媒機能をもたないCHIフォールドファミリーについて、結晶構造とリガンド結合特性、およびin vivo機能特性を調べた。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)はCHIフォールドタンパク質をコードする5つの活発に転写されている遺伝子を持ち、そのうち3つはアミノ末端葉緑体輸送配列もコードしている。これら3つのCHIフォールドタンパク質は、植物細胞で脂肪酸のde novo生合成が行われる部位である色素体に局在している。さらに、それらの発現プロファイルは、主要な脂肪酸生合成酵素の発現プロファイルと相関しており、種子で最大の発現が起こり、発生中の胚での脂肪酸貯蔵の増加と合致している。in vitroでは、これらのタンパク質は脂肪酸結合タンパク質(FAP)である。FAPをノックアウトしたシロイヌナズナは、α–リノレン酸濃度の上昇と、異常な種子形成などの顕著な生殖能低下を示す。このFAPの発見は、植物の進化の特定の期間に、非酵素祖先から立体特異的で触媒的に「完全な」酵素が適応進化したことをはっきりと示していて、注目すべきである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度