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構造生物学:ナルトリンドールに結合したδオピオイド受容体の構造

Nature 485, 7398 doi: 10.1038/nature11111

オピオイド受容体ファミリーは、μ、δおよびκ–オピオイド受容体の3つから構成され、モルヒネやヘロインなどの古典的なオピオイドアルカロイドや、エンドルフィンのような内因性ペプチドリガンドに応答する。オピオイド受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)スーパーファミリーに属し、疼痛管理の優れた治療標的である。δオピオイド受容体(δ-OR)は、鎮痛に役割を担うだけでなく、他の神経学的機能も持つが、そちらはまだよくわかっていない。μ-ORおよびκ-ORの構造は最近解かれている。本論文では、マウスδ-ORの、サブタイプ選択的アンタゴニストであるナルトリンドールに結合した状態の結晶構造を報告する。μ-ORおよびκ-ORの構造と合わせて、δ-ORの構造からは、オピオイドリガンド認識のための保存された因子についての手がかりが得られ、またリガンドのサブタイプ選択性に関連する構造的特徴も明らかになる。オピオイド受容体の結合ポケットは2つの領域に分けられる。この結合ポケットの下部はオピオイド受容体間で高度に保存されているが、上部には異なる残基が含まれ、これらによってサブタイプ選択性が生じる。この性質によって、オピオイド受容体の薬理学的な「メッセージ–アドレス」モデルの構造による説明と検証が可能になる。「メッセージ–アドレス」モデルでは、異なる「メッセージ」(有効性)決定因子と「アドレス」(選択性)決定因子が単一のリガンド内に含まれている。δ-ORのアドレス領域と他のGPCRとの比較は、こうした構造編成がより一般的な現象であって、他のGPCRファミリーにも拡張できる可能性を明らかにしている。

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