Letter

気候:黒色炭素と対流圏オゾンによって主に引き起こされる近年の北半球熱帯域の拡大

Nature 485, 7398 doi: 10.1038/nature11097

観測に基づく解析から、ここ数十年、世界が温暖化するにつれて熱帯域の幅が広がっていることが示されている。この拡大は、大規模な大気循環と主要な気候帯の移動に関連するため重要である。近年の研究によって、南半球の熱帯域の拡大はオゾンの枯渇に起因するとされているが、北半球の熱帯域の拡大の駆動因はよくわかっておらず、この拡大はこれまで気候モデルで再現されていなかった。本論文では、エアロゾルの詳細な物理過程を組み込んだ気候モデルを用いて、黒色炭素エアロゾルと対流圏のオゾンなどの、温暖化をもたらす多様な化学種が、拡大を引き起こすうえで温室効果ガスよりも著しく有効であり、夏季に熱帯域の拡大が最大となるという観測結果を説明できることを示す。影響の機構は、黒色炭素と対流圏オゾンによる大気の加熱は中緯度域で起こり、これが対流圏ジェットの極側への移動を引き起こし、そのため、熱帯気団と温帯気団の主な境界の移動が起こるというものである。我々は、熱帯の拡大をまだ過小評価しているが、真のエアロゾル強制はほとんどわかっておらず、これについても過小評価している可能性がある。したがって、モデルの感度の低さはさらに調べる必要があるが、共に人間活動の影響を強く受ける黒色炭素と対流圏オゾンは、北半球で観測された熱帯拡大の原因として最も可能性が高い。

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