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遺伝:クロマチン相互作用の解析で見つかった哺乳類ゲノムのトポロジカルドメイン

Nature 485, 7398 doi: 10.1038/nature11082

ゲノムの空間的構造はその生物学的機能と密接に関連しているが、高次のゲノム構造についての我々の理解は不正確で、断片的かつ不完全である。真核細胞の核では、間期の染色体は明瞭な染色体テリトリー内にあり、染色体テリトリーの中でどのように染色体が折りたたまれるかについては、非常に多くのモデルが提唱されている。しかしながら、これらのモデルは、より高次のクロマチン構造とゲノム機能との関係について、機構の細部をわずかに示すだけである。近年のゲノム技術の進歩は、三次元のゲノム構造解析研究に急速な発展をもたらしている。特に、Hi-Cはより高次のクロマチン相互作用を全ゲノム規模で同定する手法として導入された。本研究では、胚性幹細胞と最終分化した細胞種におけるヒトとマウスのゲノムの三次元構造を、これまでにない分解能で解析した。広いメガ塩基サイズの、局所的なクロマチン相互作用領域が同定され、「トポロジカルドメイン(topological domain)」と名付けられた。これらはゲノム構造の全体にわたる特徴である。これらのドメインは、ヘテロクロマチンが広がることを抑制するゲノム領域と関連する。トポロジカルドメインは、さまざまな細胞タイプ全般で安定しており、種を超えて高度に保存されていて、哺乳類ゲノム固有の特性であることを示している。さらに、トポロジカルドメインの境界部には、インスレーター結合タンパク質CTCF、ハウスキーピング遺伝子、転移RNA、短い散在性の反復配列(SINE)レトロトランスポゾンが多く存在していて、これらの因子がゲノムのトポロジカルドメインの形成に役割を持つ可能性が考えられる。

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