Letter

医用工学:神経で制御するロボットアームを使った四肢麻痺患者の到達把持動作

Nature 485, 7398 doi: 10.1038/nature11076

脊髄損傷、脳幹卒中、筋萎縮性側索硬化症などの疾患で麻痺が起こると、脳と体との神経連絡が途絶え、随意運動の能力が失われることがある。神経インターフェースシステムが実現すれば、ニューロンの活動を補助器具を制御するシグナルに直接変換することにより、麻痺患者の運動機能と自立性が回復できると考えられる。我々はこれまでに、長期にわたって四肢麻痺の状態にあった人が、神経インターフェースシステムを使ってコンピューターのカーソルを動かし、クリックして、物理的装置を制御できることを明らかにした。身体的に健常なサルが神経インターフェースシステムを使ってロボットアームを制御できることはわかっているが、重度の上肢麻痺や四肢欠損のある人が皮質ニューロンの協調的シグナルを使って、アームに有用な動きをさせられるかどうかは明らかになっていなかった。今回我々は、長期にわたる四肢麻痺の患者2人が、神経インターフェースシステムを用いてロボットアームを制御し、三次元的な到達および把持動作を行えることを明らかにする。被験者は、これといった訓練を受けることなく、少数の運動皮質(MI)ニューロンの局所的集団から96チャネルの微小電極アレイで記録して解読したシグナルを使って、広い空間内でロボットアームのアーム部とハンド部を制御した。被験者の1人はセンサーを5年前に埋め込んであり、ロボットアームを使って瓶からコーヒーを飲むこともできた。ロボットアームの到達把持動作は身体的健常者の動作ほど速くも正確でもなかったが、この研究結果から、中枢神経系の損傷後何年間も四肢麻痺の状態にある場合でも、少数の神経シグナルから直接的に、複雑な装置の有用な多次元的動作の制御を再現できる可能性が実証された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度