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発生:RNF12はREX1を分解の標的とすることによりX染色体の不活性化を開始する

Nature 485, 7398 doi: 10.1038/nature11070

哺乳類の性染色体は、進化の結果として異種のXとYが対を作り、Y染色体はその遺伝子のほとんどを失っている。このため、XYの雄とXXの雌の間でXに関連した遺伝子量の補正が必要になる。有胎盤哺乳類では、これは雌の全体細胞で1つのX染色体をランダムに不活性化することで行われる。将来不活性化されるX染色体でXist転写が増加すると、Tsixアンチセンス転写に拮抗し、シスでのXist RNAの広がりがエピジェネティックな変化を引き起こしてX染色体の不活性化につながる。以前に我々は、X染色体にコードされるE3ユビキチンリガーゼRNF12が分化中のマウス胚性幹細胞で発現が増加し、Xist転写とX染色体の不活性化を引き起こすことを示した。本論文では、X染色体不活性化機構において、多分化能因子REX1がRNF12の主要な標的であることを明らかにする。RNF12は、REX1のユビキチン化とプロテアソームによる分解を引き起こし、Rnf12ノックアウト胚性幹細胞ではREX1レベルの上昇が見られる。クロマチン免疫沈降シーケンス法を用いることにより、XistTsixの調節領域にREX1結合部位が見つかった。雌胚性幹細胞でREX1を過剰発現させると、Xist転写とX染色体不活性化が抑制され、一方雄のRex1+/−胚性幹細胞は異所性のX染色体不活性化を示した。この結果から、我々はRNF12が容量依存性の触媒作用によりREX1の分解を引き起こし、これがX染色体不活性化の重要経路であると考える。Rex1Xistは有胎盤哺乳類にのみ存在し、このことはこれら2つの遺伝子とX染色体不活性化が共進化したことを示している。

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