Letter 生態:落葉樹林への侵入種に見られる着葉期間の季節的拡張と秋季のニッチ 2012年5月17日 Nature 485, 7398 doi: 10.1038/nature11056 温帯の落葉樹林における葉の出現および老化の時期などの生育の季節学的特性は、生態系の生産力や栄養循環などの特性を強く支配し、林床植物の炭素経済に重要な役割を果たしている。林床植物種は、着葉期間の季節的拡張によって、林冠閉鎖前の初春または林冠落葉後の晩秋に炭素を同化するので、この拡張現象は、多くの森林侵入種の重要な特徴の1つであることが明らかになっている。しかし、森林の在来種と侵入種の生育の季節学的特性に系統的な差異があるのかどうか、春季もしくは秋季の生育期間を拡張させる温暖化傾向に対して侵入種のほうが鋭敏に応答するかどうかは、まだ明らかにされていない。本研究では、米国東部の落葉樹林に多い低木および蔓植物の在来種43種および非在来種30種の3年にわたる観察研究により、秋季の着葉期間の季節的拡張が米国東部の森林侵入種に一般的な特性であり、米国東部では非在来種の秋季の生育期間が在来種に比べて平均4週間長いことを明らかにする。対照的に、非在来種が全体として春季の生育期を早める季節学的特性を示すという一貫した証拠は得られず、また、非在来種のほうが春季気温の年々変動にうまく追従できる訳でもなかった。季節的な葉の生産量および光合成のデータは、非在来種のほとんどが年間炭素同化量のかなりの部分を林冠落葉後に得ていることを示唆しており、こうした挙動は在来種にはほとんど認められず、また、5つの系統学的分類群に共通のものであった。林冠閉鎖前および林冠落葉後の環境利用の程度に関して林床の在来種と非在来種の間に著明な差が存在することは、米国東部の侵入種が森林生産力の季節的再分配を推進しており、それが森林の諸過程に対して気候変動に匹敵する影響を及ぼしている可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る