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計測:トンネル障壁から電子が脱出する際の時間分解測定

Nature 485, 7398 doi: 10.1038/nature11025

障壁を通過する粒子のトンネリングは、最も基本的でよく見られる量子過程の1つである。高強度レーザー場によって原子や分子からの電子トンネリングが誘起されると、アト秒パルス発生、レーザー誘起電子線回折、ホログラフィーなどのさまざまな現象が起こる。これらの過程は、アト秒(1アト秒≡1as=10−18秒)の時間スケールで発展していくので、量子力学の初期の頃から盛んに議論されてきた一般的な問題、つまり障壁を通過する電子のトンネリングと障壁外でのそのダイナミクスの関係を調べるのに適している。これまでの実験では、アト秒時間分解能でのトンネリング速度とトンネリング遅延時間が測定されている。今回我々は、弱いプローブ場を用いてトンネリング後の電子を横方向に誘導した後、その遊離電子と親イオンとの再衝突時に放出されるアト秒光バーストに及ぶ影響を観測することで、レーザー誘起トンネリングについて調べた。この方法によって、トンネル障壁から電子が脱出する時間の測定が可能になることがわかった。二酸化炭素分子の2つの軌道からのイオン化時間のわずかな遅れの検出によって高い測定感度が実証された。トンネリング過程の測定は、高強度場イオン化によって超高速ダイナミクスが開始されるすべてのアト秒実験に不可欠である。我々の方法は、超高速科学における重要な難問の1つである、原子や分子における多電子再配列を時間分解する一般的な手段を提供するものだ。

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