R-spondinタンパク質群は、Wntシグナル伝達を強く亢進させ、幹細胞増殖因子として機能する。その生物学的および治療的重要性にもかかわらず、R-spondin作用の分子機構は不明である。本研究では、細胞表面の膜貫通型E3ユビキチンリガーゼzinc and ring finger 3(ZNRF3)と、そのホモログであるring finger 43(RNF43)が、Wntシグナル伝達の負のフィードバック調節因子であることを示す。ZNRF3はWnt受容体複合体と結合し、frizzledとLRP6の代謝回転を促進することによって、Wntシグナル伝達を抑制する。ZNRF3の阻害は、in vivoでWnt/β–カテニンシグナル伝達を増強し、Wnt/平面内細胞極性シグナル伝達を撹乱する。特に、R-spondinはWnt受容体の細胞膜上の量を増加させることで、ZNRF3阻害と同様の影響を与える。機構としては、R-spondinはZNRF3の細胞外ドメインと相互作用して、ZNRF3とLGR4の結合を誘導し、その結果、ZNRF3は細胞膜から除去される。これらの結果は、R-spondinはZNRF3の阻害により、Wntシグナル伝達を増強することを示唆している。この研究は、Wnt受容体の代謝回転調節の仕組みについて新たな手がかりをもたらし、ZNRF3が治療法探索に関して扱いやすい標的となることを示している。