Letter 医学:オートファジーを免れたミトコンドリアDNAが炎症および心不全を引き起こす 2012年5月10日 Nature 485, 7397 doi: 10.1038/nature10992 心不全は先進国における罹患や死亡の主な原因の1つである。ほとんどの場合、心不全の発症に微生物の感染は関与していないが、炎症は心不全の発症機序に関与している。しかし、心臓内での炎症応答の開始および統合に関与する機構はほとんど解明されていない。ミトコンドリアは細菌由来の進化した内部共生体であり、細菌DNAと類似のDNAを含んでいる。外的な血行力学的ストレスによって損傷を受けたミトコンドリアは、心筋細胞のオートファジー/リソソーム系によって分解される。本論文では、細胞自律的にオートファジーを免れたミトコンドリアDNAが、心筋細胞でToll様受容体(TLR)9を介する炎症応答を引き起こし、心筋炎および拡張型心筋症を引き起こし得ることを示す。リソソームのデオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)IIを心臓特異的に欠失させると、ベースライン条件下では心臓に表現型が現れなかったが、圧負荷処理の10日後には、死亡率が上昇し、重度の心筋炎と拡張型心筋症が引き起こされた。DNアーゼ IIを欠損した心臓では、発症の早期段階に心筋のオートリソソームにミトコンドリアDNAの沈着が蓄積するとともに、炎症細胞の浸潤および炎症性サイトカインのメッセンジャーRNA発現の増加が見られた。細菌DNAによって活性化されることが知られているTLR9を阻害するオリゴデオキシヌクレオチドの投与、あるいはTlr9の欠損により、DNアーゼ II欠損マウスの心筋障害の発生が軽減した。そのうえ、Tlr9の欠損によって、野生型Dnase2a対立遺伝子を持つマウスでも、圧負荷誘発性の心機能障害や炎症が改善された。これらのデータは心不全における慢性炎症の発生機構に新しい視点を与える。 Full Text PDF 目次へ戻る