Letter 遺伝:散発性自閉症のエキソーム解析から、高度に相互連結した、de novo変異のタンパク質ネットワークが明らかになる 2012年5月10日 Nature 485, 7397 doi: 10.1038/nature10989 自閉症スペクトラム障害(ASD)には強い遺伝的要因があることは確立されているが、少なくとも70%の症例では基礎となる遺伝的原因がわかっていない。ASDや類似の表現型を持つ人がこれまで出ていない家系(いわゆる散発性家系、あるいはsimplex家系)でのASD発症リスクは、かなりの部分がde novo変異が原因であるとの仮説に基づき、我々は、散発性ASD児とその両親の3人を1組として(新しい189組と以前に報告した20組)、ゲノムの全タンパク質コード領域(エキソーム)の塩基配列を解読した。さらにこれらに加えて、新しい3人組(n=31)と以前に報告した3人組(n=19)のASDではないきょうだい50人のエキソームも解読し、総計209の家系から677人のエキソーム配列を得た。本論文では、de novo点突然変異が圧倒的に父系起源である(4:1の偏り)こと、父親の年齢と正の相関があることを明らかにする。これは、父親の年齢が高い子供のほうがASD発症リスクが少し高い事実と一致する。また、最も重篤な、すなわち有害性の高いde novo変異の39%(126個のうち49個)が、自閉症遺伝子候補としての位置付けがかなり高い、高度に相互連結したβ–カテニン/クロマチンリモデリングタンパク質ネットワークに存在することがわかった。複数の発端者のエキソームで、タンパク質を変化させる変異が2個の遺伝子CHD8とNTNG1で複数回見られた。1,703人のASD発端者で6個の候補遺伝子の変異スクリーニングを行ったところ、GRIN2B、LAMC3、SCN1Aで、タンパク質を変化させるde novo変異がさらに見つかった。コピー数変異のデータと考えあわせると、これらの結果はASDにかかわる遺伝子座の極端な多様性を示しているが、同時に今後の発見、診断、治療につながる1つの標的も提供している。 Full Text PDF 目次へ戻る