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細胞:mTORC1を介したmRNA翻訳調節の統一的モデル

Nature 485, 7396 doi: 10.1038/nature11083

mTOR複合体1(mTORC1)キナーゼは、細胞の成長と増殖を促進する経路の核となるキナーゼで、さまざまな臨床用途で使われる薬剤ラパマイシンの標的である。mTORC1はメッセンジャーRNAの翻訳を調節するが、翻訳プログラムの全体像はほとんど解明されておらず、mTORC1がどのような仕組みで異なったmRNAの翻訳を別個に制御するのかを説明する統一的モデルは存在しない。今回我々は、mTOR阻害剤であるTorin 1を急性投与したマウス細胞を用い、トランスクリプトーム規模で高分解能のリボソームプロファイリングを行って、翻訳のようすを観察した。Torin 1は、ラパマイシンとは異なり、mTORC1を完全に阻害する。その結果、mTORC1に依存した翻訳制御の基盤となるmRNAの特徴と機構の意外なほど単純なモデルが明らかになった。mTORC1によって特異的に調節される一部のmRNA群は、ほとんどすべてが、確立された5′末端オリゴピリミジン(TOP)モチーフか、Hsp90ab1Ybx1のようにこれまでに知られていなかったTOPか、我々が同定したTOP類似モチーフを持つ転写産物で構成されている。mTORC1は5′非翻訳領域の長さや複雑さが増したmRNAを選択的に制御するとの説があるが、これを裏付ける証拠は見つからなかった。mTORC1は多数の翻訳調節因子をリン酸化するが、TOP mRNAの翻訳を制御する仕組みは解明されていない。意外にも、おそらくはmTORC1の最も詳しく解明されている基質である4E-BPファミリーの翻訳抑制因子を失うだけで、TOP mRNAおよびTOP類似mRNAの翻訳が、Torin 1に対して抵抗性となる。4E-BPファミリーの因子は、キャップ結合タンパク質eIF4EとeIF4G1の相互作用を妨げることによって、翻訳開始を阻害する。この相互作用が起こらないと、eIF4EのTOP mRNA、TOP類似 mRNAに対する結合能が、ほかのmRNAに対する結合能に比べて非常に大幅に低下する。mTORの阻害がTOP mRNA、TOP類似 mRNAの翻訳を選択的に抑制する理由はこれで説明できる。これらの結果から、mTORC1によって制御される翻訳プログラムが明らかになり、4E-BPとeIF4G1がその主要エフェクターであることが判明した。

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