Letter 進化:非ランダムな変異率の証拠は進化的なリスク管理戦略を示唆する 2012年5月3日 Nature 485, 7396 doi: 10.1038/nature10995 進化理論における中心的な原理の1つは、変異は生物に対するその価値に関してランダムに生じ、それが集団内で定着するかどうかは、その後の選択に左右されるというものである。この原理に対しては、選択が変異率そのものを調節できると予測する旧来の理論モデルによって疑問が呈されてきた。しかし、ゲノム内の異なる部位の間でどのように変異率が異なっているのかは、その測定が技術的に困難であるために解明が進んでいなかった。今回我々は、系統学的方法と集団遺伝学的方法とを組み合わせることで従来の制約を克服した研究結果を報告する。34個の大腸菌ゲノムの比較解析では、2,659個の遺伝子の間で中立変異率に10倍以上のばらつきがあり、数千塩基にわたる変異のホットスポットおよびコールドスポットが存在することがわかった。重要なこととして、変異率のゲノム内変動はランダムではなく、高発現遺伝子および純化選択を強く受けている遺伝子では変異率が低かった。この観察結果は、有害変異のリスクを低減させるために変異率が進化的に最適化されてきたことを示唆している。転写と共役した修復および状況依存的な変異生成など、変異率に影響を与える因子に関する現在の知識では今回の観察結果が説明できないため、別の仕組みの関与が考えられる。この知見は、進化および変異の制御の解明に関して重要な意味を持つ。 Full Text PDF 目次へ戻る