Letter 生化学:無秩序な構造を持つペプチド領域の立体特異的結合が引き起こすBKチャネル不活性化 2012年5月3日 Nature 485, 7396 doi: 10.1038/nature10994 タンパク質の機能的に重要な動きの多くは、短くて本質的に無秩序な構造を持つペプチド領域によって行われるが、無秩序な構造を持つドメインが作用を及ぼすことを可能にする分子相互作用は、まだ盛んに研究が行われている問題である。K+チャネルタンパク質の多くでは、開口した後に、時間に依存した電流減少が見られ、これは「不活性化」と呼ばれている。この不活性化には、細胞質側にある可動性のペプチド領域(ほぼ20〜30残基)の、イオン透過を物理的に遮断するような位置への移動がかかわっている。不活性化を引き起こすペプチド領域の間にはアミノ酸相同性がほとんど見られず、変異によるかなりのアミノ酸置換にも耐性があって不活性化過程が崩壊するようなことはない。単離された不活性化ドメインのいくつかについての溶液核磁気共鳴測定では、コンホメーションのかなりの不均一性が明らかになり、規則的構造を取る傾向はごく少ない。したがって、チャネル不活性化機構は、本質的に無秩序構造を持つ領域が機能にかかわる作用を仲介する仕組みを明らかにするのに役立つと考えられる。電位依存性K+チャネル(Kv)の不活性化の多くの性質が単純な1段階閉鎖機構により説明されるのに対して、電位依存性大コンダクタンスCa2+作動性K+(BK)チャネルの不活性化は、補助的なβサブユニットのペプチド領域によって起こり、2つのはっきりと区別される反応速度論的段階を含んでいる。今回我々は、本質的に無秩序な構造を持つBK βサブユニットペプチドによって引き起こされる二段階を経る閉鎖には、遮断に先立つ立体特異的結合という相互作用がかかわっていることを示す。これとは対照的に、Shaker Kv不活性化ペプチドによる遮断は、疎水性領域による直接的で単純な閉鎖と一致しており、実質的な立体的必要条件は不要である。以上の結果は、無秩序構造を持つペプチド領域とその結合部位の間には2種類の異なる分子相互作用が見られるが、どちらの場合でも生じる機能の性質は似ていることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る