Letter 生理:イノシトール–1,4,5–三リン酸受容体は絶食時および糖尿病における肝臓の糖新生を調節する 2012年5月3日 Nature 485, 7396 doi: 10.1038/nature10988 絶食状態では、循環血中のグルカゴンの増加が糖新生プログラムを誘導し、肝臓でのグルコース産生が促進される。サイクリックAMPシグナル伝達経路の始動により、CREBコアクチベーターCRTC2の脱リン酸化を介して、糖新生遺伝子の発現が増加する。グルカゴンによるCRTC2の脱リン酸の促進には、CRTC2キナーゼSIK2のプロテインキナーゼA(PKA)を介した阻害も一部関与している。複数のSer/ThrホスファターゼがCRTC2を脱リン酸化すると考えられるが、ホルモンの手がかりがこれらの酵素を調節する機序は明らかにされていない。今回我々は、マウスでグルカゴンが細胞内貯蔵カルシウムを動員し、カルシウム/カルモジュリン依存性のSer/Thrホスファターゼであるカルシニューリン(PP3CAとしても知られる)を活性化することにより、肝細胞でのCRTC2脱リン酸を誘導することを示す。グルカゴンはPKAを介したイノシトール–1,4,5–三リン酸受容体(InsP3R)のリン酸化によって細胞質中のカルシウム濃度を上昇させ、InsP3RはCRTC2と結合する。その活性化後に、InsP3Rはカルシニューリンを介してCRTC2の脱リン酸を促進することで、糖新生遺伝子の発現を増加させた。摂食時には、インスリンシグナル伝達の増加がAKTを介したInsP3Rの不活性化によりCRTC2活性を低下させる。InsP3Rの活性は糖尿病でも上昇し、糖新生プログラムが上方制御される。肝臓でのInsP3Rおよびカルシニューリンの発現低下はインスリン抵抗性における循環血中グルコース濃度を改善することから、今回の結果は、cAMPとカルシウムの経路間のInsP3Rのレベルでの相互作用が、絶食状態および糖尿病時における肝臓のグルコース産生をどのように調節するのかを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る