Letter 宇宙:小惑星帯外延部の不安定化により生じた始生代の重爆撃 2012年5月3日 Nature 485, 7396 doi: 10.1038/nature10967 月の若い盆地(直径300 km以上のクレーター)を多数形成した彗星や小惑星の集中的な衝突は、しばしば後期重爆撃(LHB)と呼ばれている。多くの研究で、LHBは約3.7 Gyrから3.8 Gyr前に、オリエンタル盆地の形成とともに終わったと考えられている。しかしながら、LHB規模の衝撃に関する地球上の証拠は、衝突スフェリュール床、つまり、チクシュルーブ・クレーターと同サイズかまたはそれより大きなクレーター生成事象で作られた、全球に分布する噴出物層としての形で、始生代および前期原生代にわたって残っている。3.23 Gyrから3.47 Gyr前の期間に形成されたスフェリュール床は少なくとも7つ、2.49 Gyrから2.63 Gyr前の期間に形成されたものは4つ、1.7 Gyrから2.1 Gyr前の期間に形成されたものは1つが発見されている。本論文では、LHBがこれまで考えられていたよりもずっと長い期間持続し、大部分の後期衝突天体はEベルト、すなわち地球から1.7天文単位から2.1天文単位の間に広がっていた、現在ではおおむね消失した小惑星帯部分から飛来したことを報告する。この領域は、後期の巨大惑星移動によって不安定化された。現在、Eベルトに残っている天体は、高い軌道傾斜角を持つハンガリア小惑星群を構成している。観測されたハンガリア小惑星群のスケーリングから、我々はEベルトからの放出天体が、3.7 Gyr前から4.1 Gyr前までの期間に約10個の月の盆地を形成したことを見いだした。この小惑星群はまた、2.5 Gyr前から3.7 Gyr前までの期間に約15個の盆地を地球上に形成し、同様に1.7 Gyr前から3.7 Gyr前の期間には、地球の表面に約70個、月の表面に4個の、チクシュルーブ・クレーターと同じサイズ、もしくはそれよりも大きなクレーターを形成した。これらの衝突率は、衝突スフェリュール床と月のクレーターから得られる制約条件を再現している。 Full Text PDF 目次へ戻る