Letter 物理:磁気量子臨界点を横切る熱輸送と電気輸送 2012年4月26日 Nature 484, 7395 doi: 10.1038/nature11072 量子臨界点(QCP)は、競合する相の間でゼロ温度において連続転移が起こる際に生じる。磁気QCPでの集団励起から、金属の電子相関に関する標準理論であるランダウのフェルミ液体記述の予測から大きくずれる金属的性質が生じる。この理論の中心となるのは準粒子の概念、すなわち非相互作用電子の量子数を持つ電子励起である。本論文では、重いフェルミオン化合物YbRh2Si 2における磁場に誘起されたQCPを横切る熱輸送と電気輸送を測定した結果を報告する。ゼロ温度極限での電気伝導率に対する熱伝導率の比が、QCPに到達する臨界磁場より上の磁場に対してウィーデマン・フランツ則に従うことがわかった。これは、臨界磁場より下の磁場でも予測され、その場合には弱い反強磁性秩序とフェルミ液体相が0.07 K(ゼロ磁場において)以下で形成される。しかし、この臨界磁場では、低温の電気伝導率は熱伝導率を約10パーセント上回り、非フェルミ液体の基底状態が示唆される。ウィーデマン・フランツ則のこの見かけ上の破綻は、ランダウ準粒子の基本概念がもはや成立しなくなる非従来型のQCPを示す証拠となる。これらの結果は、ランダウ準粒子が壊れること、また、この崩壊の起源は電子量子臨界ゆらぎを伴った非弾性散乱であることを示唆している。これらの見解は、多様な種類の相関物質において観測されることの多いフェルミ液体挙動からのずれの理解にかかわってくるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る