Article

発生:クローン優位性を持つ心筋細胞が心臓の形態形成を指示する

Nature 484, 7395 doi: 10.1038/nature11045

脊椎動物の胚が成体へと発生する過程で、器官の大きさと組織構造は著しく変化する。心臓は筋肉量を増やして構造的に成熟し、循環系機能の必要性の増加に対応していくが、この過程はまだ十分に解明されていない。本研究では、多色クローン解析法を用い、ゼブラフィッシュ心臓が、胚期の単純な構造から成魚期の複雑な形状へと形態形成していく際の個々の心筋細胞の寄与について明らかにした。数十個の心筋細胞が側方に拡張し、さまざまな大きさと形状の筋肉のパッチになることで、稚魚の心室構造にある心筋細胞1個分の厚さの壁が形成されることが見いだされた。ゼブラフィッシュ稚魚が成魚へと成熟するにつれて、この構造は新たな細胞系譜の表層筋(cortical muscle)により完全に覆われるようになる。成魚期の表層筋は、個体あたり平均8個という少数の心筋細胞に由来し、これらの細胞は幹細胞集団に類似したクローン優位性を示す。表層の心筋細胞は最初に内側の筋原繊維から出現するが、これらの筋原繊維はまれに稚魚の心室壁を通り抜け、その後表面に拡大する。以上の結果は、成体の心臓構造を作り上げる動的な増殖的挙動を明らかにし、クローン優位性が脊椎動物の器官を形作る重要な機構の1つであることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度