Letter 構造生物学:膜に埋め込まれているプロトン輸送性ピロホスファターゼの結晶構造 2012年4月19日 Nature 484, 7394 doi: 10.1038/nature10963 プロトン輸送性ピロホスファターゼ(H+-PPアーゼ)は、ピロリン酸(PPi)の加水分解によって細胞内の膜を挟んだプロトン勾配を確立するプロトン能動輸送体である。H+-PPアーゼは、植物の液胞膜や一部の原生動物や原核生物の細胞膜では主にホモ二量体として存在している。その三次元構造や、H+-PPアーゼの酵素反応やプロトン輸送反応の基盤となる機構の詳細ははっきりしていない。今回我々は、ヤエナリ(Vigna radiata)のH+-PPアーゼ(VrH+-PPアーゼ)について、加水分解できない基質類似体のイミド2リン酸(IDP)と複合体を形成した状態の2.35 Å分解能の結晶構造を報告する。VrH+-PPアーゼの個々のサブユニットは16本の膜貫通へリックスから形成される膜内在ドメインからなる。IDPは各サブユニットの細胞質側領域に結合していて、多数の荷電残基と5個のMg2+イオンにより捕捉されている。これまで知られていなかったプロトン輸送経路は、中心部の6本の膜貫通へリックスにより形成されている。プロトンの汲み上げはPPi加水分解により開始され、次いでH+はArg 242、Asp 294、Lys 742とGlu301からなる経路を通って液胞内腔へと輸送される。我々は、プロトン汲み上げとH+-PPアーゼによるPPi加水分解との共役機構についての作業モデルを提案する。 Full Text PDF 目次へ戻る